MEXCは1,700種類以上の銘柄を取引できる海外の暗号資産取引所ですが、日本の金融庁からは無登録業者として警告を受けています。
しかし、次のような疑問を持っている方も多いでしょう。
- MEXCは金融庁から警告を受けているのに使っても大丈夫なの?
- 日本人がMEXCを利用したら違法になる?
- 2026年の法改正で海外取引所の扱いはどう変わる?
MEXCへの警告は業者側に対するものであり、利用者を処罰する規定は現時点で存在しません。
ただし、金融庁に登録された国内業者のような利用者保護は受けられず、トラブル時は自己責任となります。
ここでは、MEXCに対する金融庁の警告内容や日本人が利用する場合の法的な扱い、2026年に成立した法改正の影響について解説します。
海外取引所の規制やリスクを正しく理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
MEXCをめぐる規制の現状
ここでは、MEXCが日本の規制当局からどのような警告を受けているか、そしてMEXC側の対応状況について以下の順で解説します。
- 金融庁は2023年と2024年にMEXCへ警告書を出している
- 関東財務局は2025年に店頭デリバティブ取引の勧誘で警告している
- MEXCは日本を利用禁止地域に指定していない
- 日本のアプリストアではMEXCアプリが配信されていない
金融庁は2023年と2024年にMEXCへ警告書を出している
金融庁はMEXCに対して、「無登録で暗号資産交換業を行う者」として2回の警告書を出しています。
1回目は2023年3月31日で、資金決済法の事務ガイドラインに基づく警告です(参考:金融庁)。
警告書には代表者が「不明」、所在地が「シンガポール共和国」と記載されています。
2回目は2024年11月28日で、同じ法的根拠に基づく警告です(参考:金融庁)。
代表者はJohn Chen Juと記載されており、KuCoin・Bybit・Bitget・bitcastleの4社と同日に警告書が出されています。
いずれも「インターネットを通じて、日本居住者を相手方として、暗号資産交換業を行っていたもの」が警告の理由です。
日本で暗号資産交換業を営むには金融庁への登録が必要ですが、MEXCはこの登録を行っていません。
関東財務局は2025年に店頭デリバティブ取引の勧誘で警告している
2025年6月20日には、関東財務局がMEXC Trading Platformに対して「無登録で金融商品取引業等を行う者」として警告を出しています(参考:関東財務局)。
金融庁による警告は資金決済法に基づくものですが、関東財務局の警告は金融商品取引法の監督指針に基づいています。
対象となったのは、暗号資産を用いた証拠金取引(店頭デリバティブ取引)の勧誘です。
MEXCが提供する先物取引やレバレッジ取引がこれに該当します。
MEXCは日本を利用禁止地域に指定していない
金融庁や関東財務局からの警告にもかかわらず、MEXC側は日本を利用禁止地域に指定していません。
MEXCの公式ページでは、禁止地域として北朝鮮・キューバ・スーダン・イラン・中国本土・シンガポール・米国・英国・香港・ロシア支配下のウクライナ地域・カナダが挙げられています(参考:MEXC)。
日本はこのリストに含まれておらず、2026年7月時点で口座開設・本人確認・取引を行えます。
ただし、禁止地域リストは法的・コンプライアンス上の理由で随時更新されると公式ページに明記されています。
将来的に日本が追加される可能性は否定できません。
利用できる状態であっても金融庁の警告を受けている事実に変わりはなく、利用者保護の面でリスクがある点には注意が欠かせません。
日本のアプリストアではMEXCアプリが配信されていない
MEXCのスマートフォンアプリは、日本のApp StoreおよびGoogle Playでは配信されていません。
MEXC公式ページによると、iOSではインド・日本・韓国・英国、Androidではインド・インドネシア・日本・韓国・英国がダウンロード不可の対象です。
日本からMEXCを利用する場合は、ブラウザで公式サイトにアクセスする形になります。
MEXCを日本人が利用する場合の法的な扱い
ここでは、MEXCを日本人が利用した場合にどのような法的扱いになるかについて、以下の順で解説します。
- 資金決済法に利用者を処罰する規定はない
- 登録業者に課される利用者保護の仕組みは適用されない
- トラブルが起きても日本の当局に解決を求められない
- 利益の申告は利用者自身の責任になる
資金決済法に利用者を処罰する規定はない
日本人がMEXCを利用しても、利用者が罰せられる規定は現時点で存在しません。
資金決済法が定める登録義務は、暗号資産交換業を営む業者側に課されるものです。
金融庁がMEXCに出した警告も、業者に対する行政上の措置であり、利用者個人への処分ではありません。
ただし未登録の取引所には国内の法的保護が及ばないため、利用にはリスクが伴います。
登録業者に課される利用者保護の仕組みは適用されない
金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者には、利用者を保護するための制度上の義務が複数課されています。
代表的なものをまとめると以下のとおりです。
| 保護の仕組み | 内容 |
|---|---|
| 顧客資産の分別管理 | 業者の自己資産と顧客資産を分けて管理する |
| コールドウォレット保管 | 暗号資産をインターネットから切り離した環境で原則保管する |
| 情報提供義務 | 取り扱う暗号資産のリスクや手数料などの情報を利用者に提供する |
| 金融庁の監督・検査 | 業務運営の適切さについて金融庁が監督・検査を行う |
未登録のMEXCにはこれらの義務が適用されません。
MEXC独自のセキュリティ対策は講じられていますが、それは日本の法律で義務づけられたものではなく、法的な保護とは性質が異なります。
トラブルが起きても日本の当局に解決を求められない
出金停止・口座凍結・ハッキングによる資産流出など、取引所でトラブルが発生した場合の対応手段が限られる点も大きなリスクです。
国内の登録業者であれば、金融庁への苦情申立てや金融ADR(裁判外紛争解決手続)を利用して解決を図れます。
一方、MEXCは日本の規制下にないため、これらの制度の対象外です。
トラブルが起きた場合はMEXCのカスタマーサポートへ直接問い合わせる形になります。
対応の可否や速度はMEXC側の判断に委ねられるため、国内業者と同じ水準の対応が受けられるとは限りません。
利益の申告は利用者自身の責任になる
MEXCで得た利益は、日本の所得税法上の課税対象です。
海外取引所を利用したからといって申告義務がなくなるわけではありません。
国内の登録業者であれば、年間取引報告書が作成され、税務署にも提出されます。
MEXCにはこの仕組みがないため、取引履歴を自分でダウンロードし、損益計算を行ったうえで確定申告する必要があります。
2026年の法改正で変わる海外取引所への規制
ここでは、2026年に成立した法改正が海外取引所やその利用者にどう影響するかについて、以下の順で解説します。
- 暗号資産の規制が資金決済法から金融商品取引法へ移る
- 無登録で暗号資産取引業を行う業者への罰則が引き上げられる
- 申告分離課税の対象は国内業者を通じた取引に限られる
暗号資産の規制が資金決済法から金融商品取引法へ移る
2026年7月15日、「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が国会で成立し、7月23日に公布されました(令和8年法律第64号)(参考:参議院)。
改正の柱は、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管する点です。
暗号資産は有価証券とは別のカテゴリーの金融商品として金商法に位置づけられます。
この移管に伴い、暗号資産交換業者の名称は「暗号資産取引業者」へ変更される予定です。
登録要件も第一種金融商品取引業に相当する水準に引き上げられ、業者が取り扱う暗号資産の審査体制や顧客適合性の確認体制の整備が求められるようになります。
施行は公布から1年以内とされており、2027年中に新制度が始まる見込みです。
無登録で暗号資産取引業を行う業者への罰則が引き上げられる
今回の法改正では、無登録で暗号資産取引業を行う業者への罰則が大幅に強化されています(参考:金融庁)。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 拘禁刑 | 5年以下 | 10年以下 |
| 罰金 | 500万円以下 | 1,000万円以下 |
罰則の引き上げに加えて、証券取引等監視委員会による犯則調査の対象にも追加されます。
無登録業者による暗号資産の売付けについては、民事効規定により原則無効となり、立証責任が業者側に転換される仕組みです。
この罰則強化に関する規定は、法律の公布から20日後に先行して施行されています。
MEXCのような未登録の海外取引所に対し、日本の規制当局がより強い姿勢で臨む法的根拠が整備された形です。
申告分離課税の対象は国内業者を通じた取引に限られる
暗号資産の税制も大きく変わります。
改正所得税法(2026年3月31日成立)により、一定の暗号資産取引に申告分離課税が導入されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税率 | 20%(所得税15%+住民税5%) |
| 対象 | 特定暗号資産の現物取引・デリバティブ取引・ETF |
| 損失繰越 | 3年間の繰越控除が可能 |
| 適用開始 | 金商法改正の施行翌年1月1日以降(2028年1月が有力) |
ただし、分離課税の対象は「金融商品取引業者登録簿に登録された銘柄を、国内の暗号資産取引業者を通じて取引した場合」に限られます。
MEXCのような海外取引所やDEX(分散型取引所)での取引は対象外です。
こうした取引で得た利益には引き続き総合課税(最大約55%)が適用されるため、税負担に大きな差が生じる点に注意が必要です。
MEXCの規制に関するQ&A
MEXCの規制に関する、よくある質問と回答を紹介します。
- MEXC以外に金融庁から警告を受けた海外取引所はありますか?
- 金融庁に登録されている暗号資産交換業者はどこで確認できますか?
- 海外取引所での取引は税務当局に把握されますか?
MEXC以外に金融庁から警告を受けた海外取引所はありますか?
MEXCだけでなく、複数の海外取引所が金融庁から警告を受けています。
2024年11月にはMEXCを含む5社に同時に警告書が出されたほか、過去にはBinanceなども対象になっています。
金融庁の公式サイトでは無登録業者の一覧が公表されているため、海外取引所を利用する前に確認しておくと判断材料になります。
金融庁に登録されている暗号資産交換業者はどこで確認できますか?
金融庁の公式サイトに「暗号資産交換業者登録一覧」が掲載されています。
2026年4月時点の登録業者は27社です。
一覧には業者名・登録番号・所在地などが記載されており、利用を検討する取引所が登録済みかを確認できます。
海外取引所での取引は税務当局に把握されますか?
海外取引所の利用であっても、税務当局に情報が伝わる仕組みは整備されつつあります。
日本はCRS(共通報告基準)に参加しており、海外の金融機関が保有する口座情報は各国の税務当局へ自動的に共有されます。
暗号資産取引所がCRSの報告対象に含まれるかは取引所の所在国や各国の対応状況によりますが、申告しなければ把握されないとは限りません。
海外取引所で得た利益も日本の所得税法上の課税対象であり、確定申告は必要です。
まとめ
ここでは、MEXCの規制と2026年の法改正について解説しました。
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- MEXCは金融庁から2回、関東財務局から1回、合計3回の警告を受けている
- 警告は業者に対するもので、利用者を処罰する規定は現時点でない
- 未登録の取引所には国内業者に課される利用者保護の仕組みが適用されない
- 2026年7月に暗号資産の規制を金商法へ移管する改正法が成立し、無登録業者への罰則が強化された
- 申告分離課税(税率20%)は国内業者経由の取引に限られ、海外取引所は総合課税(最大約55%)のまま
- MEXCは日本を利用禁止地域に指定していないが、禁止地域リストは随時更新される
MEXCは豊富な銘柄数や取引機能が魅力の取引所ですが、日本の規制環境を正しく理解したうえで利用を判断する姿勢が欠かせません。
ぜひ金融庁の公式サイトで最新の登録業者一覧や警告情報を確認し、自身のリスク許容度に合った取引所を選んでみてください。

